Ryzen 7 3700XにしたらTMSR4のクリップ編集で再生ができなくなった

Ryzen 7 3700X
3950XをあきらめてRyzen 7 3700Xでパソコンを1台組みました。十分な性能に満足しているのですがひとつ不具合が生じました。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 4でビデオの編集をしようとするとクリップの再生ができない現象が時々生じました。多くの場合TMSR4がフリーズします。

回避方法はわかったので、丸一日症状を観察した結果を書いておきます。


今度こそSandyおじさん卒業です。夏に組んだ3600Xは息子にあげて3950Xを待っていました…。ところがRyzen 9 3950Xの発売が11月へ延期となりました。もう待つのに疲れたし16コアはZen3以降でいいやと思ってRyzen 7 3700Xで妥協しました。3700Xを使いだすと16コアはいらないなと冷静に思ってしまいました…。もっと早く買えば良かった。

私の場合はビデオ編集とプログラムのビルドなどが処理の重い使い方です。少しでも速くと思っていましたがコストを考えると8コア16スレッドで十分だとわかりました。
クロックが上がりシングル性能がもっと良くなる事を期待して16コアはZEN3以降に考えることにします。

TMPGEnc MPEG Smart Renderer 4(TMSR4)がフリーズする

一通り使うソフトウエアを動かして動作確認をしていたのですがTMSR4の動作が不安定なのです。TMSR4はビデオのカット編集用ソフトウエアです。

クリップの編集画面でシークバーの移動は普通に動きます。カット編集も問題ありません。しかし、クリップを再生しようとすると挙動が怪しくなります。通常は再生ボタンを押すとすぐに再生が始まります。この反応が少し悪いのです。ワンテンポ遅れる感じです。

とりあえず編集はできるのでしばらく使っていたのですがCPUの負荷が高いときに症状が悪化する事がわかりました。他のプログラムを動かさないときはワンテンポ遅れながらも再生ができます。しかしビデオのエンコードなど他のプログラムの処理が重い時は再生ボタンを押しても再生が始まらなくなります。10秒くらい経つと再生が始まる事もあります。再生ボタンを何度も押してしまうとTMSR4がフリーズします。

TMSR4の再インストールを試みるも改善されません。

デコーダとレンダラ設定を変えてみるも改善されず

ビデオのデコーダが怪しいと思ってTMSR4の環境設定を変えてみました。クリップ編集で関係しそうなのはMPEGデコーダ設定とプレビュー用レンダラ設定です。
MPEGデコーダ設定画面

プレビュー用レンダラ設定画面
デコーダを変えてみたり、Direct3Dをやめてみたりしましたが改善されません。
Direct3Dに関連してDirectXをインストールしなおしてみましたが関係ないようです。

原因はサウンド設定にあった

思いつく対処法も無くなり、TMSR4はもう古いソフトだしTMSR5を買わなくてはならないかと思ったりもしました。でも時期的にTMSR6が出そうだし…。
手詰まり!
と思いつつ何度も再生ボタンを押して症状を見ていました。

ここで一つ気づいたことがあります。再生が始まらずあきらめて停止ボタンを押した時にボツッとスピーカーからノイズが出るのです。何か詰まっていたものが急に流れ出す様な雰囲気を感じました。
映像のデコードにばかり着目していましたが本当の原因はサウンドにあるのではないか?

マザーボードにはRealtekのサウンド機能が載っていますがUSBのサウンドミキサーをつないでそちらから音を出してみたりしました。
サウンドデバイスを変えて一瞬問題が解決したかに見えましたがいろいろ環境を再設定しているとまた同じ問題が発生しました。

あきらめかけていたのですが再生ができない時のタスクマネージャのプロセスに普段見かけないプロセスが現れるているのに気づきました。
task manager
”Windows オーディオ デバイス グラフ アイソレーション”というプロセスです。
再生ボタンを押して正常に再生できる時にはこのプロセスは現れません。再生ボタンを押して再生がワンテンポ遅れる時には一瞬このプロセスが現れて消えます。そして再生できずフリーズした時にはこのプロセスがずっと現れています。
フリーズしかけた時に”Windows オーディオ デバイス グラフ アイソレーション”のタスクを終了させるとTMSR4が動きだしました。
このプロセスが真犯人とは言えませんがサウンド出力ルートを確保できないのが根本原因と推測できます。

”Windows オーディオ デバイス グラフ アイソレーション”でググるとたくさん不具合が出てきますね。多くはCPUの使用率が高くなるというものです。症状は違いますがいくつか関係がありそうなページを見てみました。すると重要な関係がありそうなページがありました。サウンド設定の音響効果を使うなと言うのです。
Windows オーディオ デバイス グラフ アイソレーション のリソース消費【Ver1709】 | Microsoft コミュニティ
私の場合Windowsの音響効果は使っていなかったのですがもっといろいろやってそうなSONIC STUDIO IIIというのを動かしていました。

SONIC STUDIO IIIのSONIC STUDIO LINKを使うとTMSR4は不具合を起こす

私のマザーボードはROG Strix X570-F Gamingです。付属のソフトウエアにSONIC STUDIO IIIがあります。このソフトウエアではステレオヘッドフォンでバーチャルサラウンド再生ができるようになります。FPSゲームを良く遊ぶので音で敵の位置を知る環境が必須でした。バーチャルサラウンドを使うとステレオヘッドフォンでも前後左右 音の鳴る方向が分かるようになります。

SONIC STUDIO III
で、この機能を使うにはSONIC STUDIO LINKを有効にするのですが、これを有効にするとTMSR4の再生がおかしくなる事がわかりました。このサウンド効果を使わなければCPUの負荷が100%だとしてもTMSR4のクリップ編集はサクサク動き再生もできます。

このサウンド効果は他のソフトウエアで問題なく機能しています。TMSR4の不具合の真犯人と呼ぶことはできません。TMSR4の方に何か問題があったものが顕在化したと考えた方が良いでしょう。
音響効果はソフトウエアで行いより複雑な効果は時間がかかるためCPUの応答時間が想定よりも遅くなったのが影響するのかも知れません。

暫定回避方法

根本的にはTMSR4が改善されなければ解決しませんがもうアップデートされる事は無いでしょう。
SONIC STUDIO LINKを無効にすれば良いのですがFPSゲームを遊ぶときは有効にしなくてはなりません。いちいち手動で切り替えるのは面倒くさいです。

幸いSONIC STUDIO IIIにはデバイスルーティングという機能があります。アプリケーションごとに使うサウンドデバイスを指定できるのです。サウンドデバイスごとにSONIC STUDIO LINKの有効と無効を設定できます。
そこで、FPSゲームなど通常のプログラムはマザーボードのサウンド出力を使いSONIC STUDIO LINKを有効にしておきます。
TMSR4は音が鳴りさえすれば良いのでHDMI接続のモニタからサウンド出力にするようにしSONIC STUDIO LINKを無効にしておきます。

これで安心してビデオ編集ができるようになりました。

まとめ

Sandyおじさんを卒業しRyzen 7 3700Xのパソコンを使い始めました。
新たに環境を設定していくとTMPGEnc MPEG Smart Renderer 4(TMSR4)がフリーズするようになりました。クリップ編集で再生しようとすると再生が始まらないのです。

映像デコーダを疑いましたが改善しません。フリーズの状況を観察すると”Windows オーディオ デバイス グラフ アイソレーション”というプロセスが関係している事がわかりました。検索すると以前から不具合の情報が多くあります。どうやらサウンド設定の音響効果を有効にしていると不具合が発生するそうです。

サウンド設定の音響効果は使っていなかったのですがSONIC STUDIO IIIのSONIC STUDIO LINKを有効にしてバーチャルサラウンドヘッドホンの機能を使っていました。この機能を無効にするとTMSR4の不具合は解消しました。

AMDのCPUのせいでなくて安心しました。


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