WiFi6のDFS機能でフルスピードが出ず! TP-Link TX3000eを買ってみた

TP-Link TX3000e
メインパソコンを置く部屋を移動する予定でいます。問題はネットワークケーブルが引けないことです。FPSゲームをするのでかなり深刻な問題。そこでWiFi6対応のPCIe接続のWiFiアダプタ TP-Link TX3000eを買ってみました。

子供も成長し、親は特養ホームへ。空き部屋が増えたので部屋の整理をずっとしています。メインパソコンを置く部屋を移動しようと思っています。問題はネットワークケーブルが引けないこと。電線を廊下に這わしたくはないです。
ならばWiFiを使えばいいとなりますが、FPSゲームをするので遅延が気になります。WiFiで接続する機器はスマホやらラズパイやらGoogleホームなどで20台弱あります。機器が増えるほど遅延が増えるというWiFiでゲームをやる時の問題点です。
WiFiの最新の規格 WiFi6を使うと遅延が少なくなるそうです。幸いなことに家のルータをWiFi6対応にしたばかりです。
関連記事:WiFi 6対応ルータRT-AX92Uに乗り換えてAiMeshを作ってみた

我が家にWiFi6対応の機器は他に有りませんでした。これは試してみないとなりませんね。

ということで、デスクトップPCでWiFi6対応のWiFiアダプタを探します。USB接続できるものがあると良いのですがこの記事公開時点ではUSBでIEEE802.11axが使える製品は存在しませんでした。
となるとPCIe接続しか選択肢はありません。有名所ではASUSとTP-Linkの製品が見つかります。あとは名も知れないメーカー製。

価格は当然ASUSが一番高く、次いでTP-Link。バックドアが騒がれたTP-Linkのネットワーク製品はちょっと不安なのでASUSのを買いたいのですが在庫切れの店舗が多いようです。

さらに調べると、これらの製品はすべて同じ部品を使っています。インテルのAX200というWiFiモジュールです。この記事公開時ではAX200以外でWiFi6に対応したものは無いようです。ですからアンテナ2本の製品だけになります。最高接続速度もみな2402Mbpsになります。
となるとASUSだろうが中華メーカだろうが、違いはPCIeとM.2の変換ボードとアンテナだけです。ならば一番安いのでいいか・・・となるのですが、本当にAX200が入っているのかわかりません。
外付けアンテナが欲しいのでTP-Link TX3000eに決めました。


ここ最近は配送が遅かったアマゾンですが、プライムじゃないのにポチった翌日に玄関先へ届いてました。早っ!

箱はこんなの
TP-Link TX3000e
外付けアンテナの台にマグネットが付いているか気になっていたのですが、外箱に磁石付きと書いてありました。

開けるとこう。
TP-Link TX3000e
きれいに入っています。

中身を取り出します。
TP-Link TX3000e
ロープロファイル用の金具とBluetoothをUSBにつなぐケーブルが入っています。ドライバが入ってるだろうCDもあります。

気になるアンテナ台の底。
アンテナ台の底
ラバーシートで覆われています。平らな面ならしっかりと吸い付きます。アンテナケーブルに引っ張られて台が滑って移動するとか倒れる心配はありません。垂直な金属面ならマグネットで保持できます。期待以上に良くできていました。

早速パソコンに搭載します。Bluetoothは付属のケーブルでマザーボード上のUSB拡張端子へ接続すると使えます。
Windowsが立ち上がると自動的にドライバが入り動きます。付属のCDを使う必要はありません。
TP-Link TX3000e WiFiデバイスドライバ

Bluetoothのドライバも自動的に入ります。
TP-Link TX3000e Bluetoothデバイスドライバ

リンク速度を見ると
TP-Link TX3000e リンク速度
1201MHzでした。アンテナは2本とも動いているようです。

TX3000eの最高速度は2402Mbpsです。残念なことに半分のスピードしか出ていません。何故でしょう?
IEEE802.11axの仕様では160MHzの帯域幅を使える時に最大速度が出ます。ルータでこの時のリンクを見ると帯域幅80MHzで接続されていました。

最高速度を試したいなぁ。160MHzの帯域幅を使うには何か設定があるのかな?
これはルータ側に設定が必要な場合があります。私が使っているASUSのルータでは160MHzのチェックボックをオンにしなくてはなりません。

しかしながら、我が家の環境では160MHzの帯域を確保できませんでした。
WiFiにはチャンネルというものがあります。ルータとクライアントが同じチャンネルで通信します。一つのチャンネルは20MHzの帯域幅を持っています。160MHzの帯域幅を確保するには8チャンネルが必要なのです。
では使えるチャンネルがいくつあるのかというと、我が家のRT-AX92Uでは
5.2GHz帯: 36/40/44/48ch
5.3GHz帯: 52/56/60/64ch
5.6GHz帯:100/104/108/112/116/120/124/128/132/136/140ch
となっています。RT-AX92Uでは価格を抑えるためか11axが使えるのは5.6GHz帯だけです。5.6GHzには11個のチャンネルがありますが、ここで連続した8個のチャンネルを使わなければ最高速度は出ません。我が家の場合は80MHzが使えているので4チャンネル分を確保できているようです。

近所にはまだ5.6GHz帯を使う家は多くないのになぜ?

5GHz帯のWiFiにはもう一つ制約があります。同じ周波数帯を気象レーダーが使っています。飛行機とか船舶が使っています。そのためチャンネルを使う前の1分間、レーダー波が出てないか確認しなくてはなりません。このためすぐにWiFiがつながらないかもしれません。レーダーを検知してチャンネルを変えるときも1分間レーダーが無いか確認します。この間WiFiは使えません。そしてレーダーを検知したチャンネルは30分間電波を出してはいけないそうです。この機能をDFSといいます。

我が家は三浦半島にあります。横須賀基地は気象レーダ動いてますし、自衛艦、大型船舶、防衛大学校も気象レーダーを動かしてるでしょう。さらに、羽田から東へ向かう飛行機は上空を飛びます。
あぁ、160MHz幅が使えることは無いんだな・・・
大きな港、空港の近くは同じような状況になるでしょう。

ASUSのルータではワイヤレスログを見ると状況がわかります。
比較的状況が良い時はこうです。
DFS status: state In-Service Monitoring(ISM) time elapsed 14400ms radar channel cleared by DFS channel 136u (0xD986)

Channel Information                     
----------------------------------------
Channel 100 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 104 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 108 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 112 A Band, RADAR Sensitive, Passive, Temporarily Out of Service for 26 minutes
Channel 116 A Band, RADAR Sensitive, Passive, 
Channel 120 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 124 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 128 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 132 A Band, RADAR Sensitive
Channel 136 A Band, RADAR Sensitive
Channel 140 A Band, RADAR Sensitive, Passive
チャンネル112はいつも使えません。どうやっても連続した160MHzのチャンネルを確保できません。
ちょっと観察していて最悪の時がこれ!
DFS status: state In-Service Monitoring(ISM) time elapsed 38100ms radar channel cleared by DFS channel 136u (0xD986)

Channel Information                     
----------------------------------------
Channel 100 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 104 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 108 A Band, RADAR Sensitive, Passive
Channel 112 A Band, RADAR Sensitive, Passive, Temporarily Out of Service for 30 minutes
Channel 116 A Band, RADAR Sensitive, Passive, Temporarily Out of Service for 30 minutes
Channel 120 A Band, RADAR Sensitive, Passive, Temporarily Out of Service for 30 minutes
Channel 124 A Band, RADAR Sensitive, Passive, Temporarily Out of Service for 30 minutes
Channel 128 A Band, RADAR Sensitive, Passive, Temporarily Out of Service for 30 minutes
Channel 132 A Band, RADAR Sensitive
Channel 136 A Band, RADAR Sensitive
Channel 140 A Band, RADAR Sensitive, Passive
5チャンネル使えなくなりました。
80MHz幅確保できず2チャンネル40MHz幅になります。リンク速度は574Mbpsになります。

この現実を知るとRT-AX92Uにした事を後悔します。レーダーと無縁の5.2GHz帯で11axが使える機種が良かった。160MHz幅を連続で取る方法と80MHz幅を2つの80+80で帯域幅を確保する方法があるそうです。当然、後者の方が最高速度が出やすいでしょう。まぁ予算的に有り得なかったからいいんだけど。

まとめ

WiFi6対応のTP-Link TX3000eをデスクトップPCに組み込み使ってみました。外付けアンテナの台はとてもしっかりしていて、安定して置けるでしょう。磁石を内蔵し金属面なら垂直でもしっかり保持します。
WiFi6で遅延が減りFPSゲームも安心してできると思います。が、私の腕ではWiFi5以前との違いは体感できないかも・・・
この記事公開時ではPCIe接続のWiFi6ボードはすべてインテルのAX200を搭載した製品です。メーカー毎にドライバを挿れる必要はありません。Windowsが自動的に入れてくれます。

最高速度の2402Mbpsでのリンクは一度も成功していません。港の近くなのでDFSが気象レーダーを検知して8チャンネル幅を確保できていないようです。最高1201Mbpsでしかリンクしません。1Gbpsのケーブル接続を超えるか試したかったです。1201Mbpsではケーブルより少し遅いかなという程度です。数テラバイトをコピーするなどの作業以外なら違いを感じないでしょう。

RT-AX92Uは5.6GHz帯しかWiFi6を使えません。ゲーム中にレーダーを検知してDFSが働くとゲームサーバーとの接続が切れます。ゲームになりません。ゲームや高速通信を目的としないなら十分な性能です。普段使いで問題が出ることは無いでしょう。WiFi6の最高速度を求めるなら80+80で帯域幅を確保する製品を選ぶと良いでしょう。

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