TASCAMのUSBオーディオIF US-366を普通のオーディオIFとして使ってみる

ちょっとASIOドライバがあるオーディオIFが欲しかったので物色していました。本当はDSDにも対応したオーディオインターフェースが欲しいのですが値段が高過ぎます。音さえ出れば良いと思い、ミキシング機能が豊富で遊べそうなUS-366を買ってしまいました。別に生放送とかしませんけど・・・
ほとんど使う機会がないASIOドライバのために買ったのですがもったいないのでデフォルトのオーディオ出力先として使ってみます。ミキシング機能に特徴のあるUS-366を初めて使うと、パソコンにつなげばすぐに使える感じではないので戸惑った所を書いてみます。



何年間もASIOに対応したオーディオインターフェースが欲しいと思っていました。DTMとか気合を入れてやっているわけでは無いですがパソコン周りのおもちゃとしてMIDIキーボードは持っていました。

ASIOドライバというのはパソコンの普通のサウンド出力とは異なる方法で音を出します。パソコンのプログラムがOSの機能を介さずに直接サウンドを出す事ができるのです。もっとも重要な理由が音が出るまでのタイムラグ、レイテンシーが低い事にあります。普通のパソコンではMIDIキーボードをつないで鍵盤を押した時に音が出るまで数百ミリ秒遅れてしまうのです。とても演奏できる状態にはなりません。ASIOドライバを使うとこの遅れを数ミリ秒にする事もできます。

またオーディオ機器としてみるとパソコンの標準のサウンド出力は音が悪いと言われています。これの原因はWindows標準のサウンドミキサにあるようです。ミキサとはいろいろなプログラムが出した音を一つにしてサウンド出力先に送るものです。音楽プレーヤー、ボイスチャットとゲームなど同時に使って音が聞こえるのはミキサで混ぜているからです。そしてWindowsのミキサはちょっと変な加工をしてしまうそうです。
これを解決するにはWindowsのミキサを通さなければ良いのです。解決策の一つとしてASIOドライバを使うという手があります。音楽プレーヤーが直接ASIOドライバを使ってオーディオインターフェースへ音を送るのです。このため、音楽プレーヤーが音を出している間は他のプログラムは音を出すことができません。一つのプログラム専用となるのです。

目的はどうあれASIOドライバに対応したオーディオインターフェース TASCAM(TASCAMのHP)のUS-366を購入してみました。US-366はマイク、ギター、デジタルPCMなどのミキシング機能を備えています。機能が豊富な分、パソコンにつなげばすぐに使える感じではないので単なるオーディオインターフェースとして使う場合に戸惑った所を書いてみます。本格的な使い方は他のサイト様にお任せです。

US-366のドライバとファームウエアの確認

まずはドライバを入れなくては話が始まりません。CDが付属しますがとにかくメーカーのHPを見て最新のドライバを使いましょう。ドライバのインストールは普通で特に問題は無かったです。"setup.cmd"というファイルをダブルクリックすると32bitか64bitかを判断してドライバを入れてくれます。
ドライバのインストールが終わったら"US-322 US-366 Control Panel"が開くか確認します。US-366本体上面の右下あたりに"MIXER PANEL"ボタンがありますので押してみましょう。するとコントロールパネルが開きます。もしも開かなければプログラムの一覧から"US-322 US-366 Control Panel"を探して起動させます。私の場合、最初に"US-322 US-366 Control Panel"が動いていなかったようで全く音が出ずしばらく悩みました。
コントロールパネルが開いたら"INTERFACE"タブをクリックしてファームウエアバージョンを確認します。
ファームウエアの確認

ファームウエアのバージョンがTASCAMの製品ページのものより古ければファームウエアのアップデートを行います。私の場合は1.00d9でした。製品ページでは1.02がありました。ファームウエアのアップデートを行います。製品ページからダウンロードしたプログラムを実行します。
実行すると下のような画面が出ます。ファームウエアが1.00d9となっているのが判ります。

ファームウエアのアップローダー

"write firmware"をクリックするとファームウエアの書き換えが始まります。1分もかからずに終わりました。終わるまで間違えてもUSBケーブルを抜いたり、パソコンの電源を落としてはいけません。

ファームウエアが書き換えられた

無事に終わるとファームウエアのバージョンが上がっているのが判ります。

US-366から音を出してみる

それでは音を出してみましょう。再生デバイスで"TASCAM US-366"を選べば音は出ます。たぶん・・・。
右クリックして既定のデバイスに設定しましょう。これはASIOドライバではありません。普通のサウンドドライバと同じ扱いをする場合です。

再生デバイスの選択

素直に動かしている場合は音が出ていないでしょう。さりげなく最初は戸惑います。
US-366で音を出すにはRCAピンジャックから出力する方法、ヘッドホンを使う方法、デジタル出力(同軸/光)を使う方法が選べます。

RCAピンジャックは入力と出力のどちらかを選ぶ必要があります。本体底面に入力と出力を選択するスイッチがあります。正しく選択しないと音が出ません。そして、音量は本体の一番大きなダイアルで調整します。音が出なければ時計回りに回しましょう。

ヘッドフォン出力は前面のフォーン端子です。ミニサイズではなく標準サイズです。変換アダプタなど揃えておきましょう。そして音量は本体上面の4つ並んでいるつまみの一番右側で調整します。ヘッドフォンによってはとても大きな音が鳴ります。特に最初は使い方が判らずいろいろ抜いたり挿したりして大きなポップ音を発生させてしまいます。つまみは8~9時のあたりで様子を見ましょう。

それでも音が出なかったりします。その場合は4つ並んでいるつまみの右から2番目"MON MIX"を時計回りに回しましょう。US-366本体の入力音声とパソコンからの入力音声のミキシングのバランスを調整するつまみです。パソコン以外つながないのなら時計回りに回し切りましょう。

そろそろ音は出たでしょうか?どうです?何かおかしい感じがしますか?
たぶんモノラルで鳴っていると思います。
US-366は基本的にミキサとして動作します。一つの入力は一つの音源として扱います。ステレオの入力であっても左右独立した2つの入力トラックの音源として扱うのが基本だと思いましょう。

ミキサとして使う気が無くステレオで出すのにまた戸惑います。どうしたら良いのでしょか。US-366のコントロールパネルを表示させましょう。”MIXER”タブを選択します。

ミキサ画面

ミキサ画面でUS-366の入出力の流れを決めることができます。裏面スイッチで表示画面がちょっと変わりますが赤い枠で囲った部分Computer1-2がパソコンからの入力を調整する部分です。ステレオのはずですが最初は独立した2つの入力トラックとして扱われています。

これをステレオとして扱うには2つの方法があります。普通はミキサ画面の"LINK"ボタンを使います。

LINKされた入力

"LINK"ボタンを押すと2つのトラックがステレオとして扱われます。どうですか?ステレオになりましたか?

もう一つの方法はパンを設定するやり方です。


ステレオミキシングする際に入力トラックのステレオでの位置を決める事ができます。左右入れ替えた配置もできたりしますがこの方法に特に意味は無いですね。ミキサというのが何をやるかを理解するのには良いので試してみる事をお勧めします。

今回はパソコンの入力をステレオとして扱う場合を書いていますが、他の入力の所にも"LINK"ボタンがあります。何をするのかはもうお判りでしょう。

US-366のフォーマットをみてみる

 US-366は24bit 192kHzのサンプリングに対応しているそうです。再生デバイスの一覧からプロパティを表示させて確認してみましょう。何も音を出さない状態で詳細タブを選んでみます。

US-366の出力形式

こんなのを見たら何を選べばいいか迷います。まぁ差なんてわかりませんのでそんな高サンプリングを選ぶ必要もありません。後述しますが光デジタル入力と一緒に使う場合はちゃんと選ばないと音が出なくなります。

Battlefield 4でUS-366を使ってみる

いろいろ使い方を試す例としてBattlefield 4の音を出してみます。普通に音は出るのですが、一つゲームをやる上で大きな問題がありました。私は音のサラウンド出力を強化するためRAZER SURROUNDを使っているのですが、これの出力先としてUS-366のドライバが表示されず選択できないのです。
Battlefield 4などのFPSゲームでは音によって敵の動きや場所を推測すると有利になります。また、そのような事ができるようゲームが設計されています。ステレオヘッドフォンでも360度の方向が判ると便利なのです。とはいえ、Direct Soundが廃止されてからまともな音場再現は望めなくなってしまいましたが。あぁ、X-Fiはすごかった。

ゲームをするときは普通にパソコンのサウンド出力を使えばいいだけなのですが、ヘッドフォンのプラグを挿しなおさなくてならず面倒です。できればUS-366に挿しっぱなしにしたいです。
それならばと無理やり使う方法があります。US-366はミキサーなのです。光デジタル入力もあります。RAZER SURROUNDの出力は光デジタルにしてUS-366でミキシングしてやれば良いのです。RCA入力でも良いですがアンプ出力を使っている場合は入力として使えないため光デジタル接続をしてみます。


パソコンの光デジタル端子とUS-366の光デジタル端子を角型光ケーブルでつなげば準備完了です。ここでの大きなポイントはUS-366のサンプリング周波数は光デジタル端子のサンプリング周波数に変更されるという事です。

US-366と光デジタルで接続する

それではUS-366につないだ光デジタル端子のプロパティを見てみましょう。再生デバイス一覧からデジタル出力のサウンドを選んでプロパティを表示させます。

US-366光デジタル接続時のサポート形式

"サポートされている形式 "タブのサンプルレートで44.1kHzを選択してテストボタンを押します。音が聞こえたか尋ねるダイアログが表示されますので聞こえたら"はい"を押します。すると44.1kHzにチェックマークが付きます。順番に48.0kHzから192.0kHzまでテストしましょう。すべてチェックが付けられるはずです。チェックができたら詳細タブを見ます。

光デジタルの出力形式の選択

US-366のドライバと同じ種類の形式が選択できる事が判ります。US-366の光デジタル入力を使った場合、このサンプリング周波数でUS-366が動く事になります。US-366のプロパティで先ほどと同じく出力形式を見ると先ほどとは違い光デジタルで選択した周波数と44.1kHzの周波数しか選択できなくなっているでしょう。

この接続の場合US-366の普通のドライバは使われません。光デジタルが既定の出力先となります。ASIOドライバはそのまま動きますのでASIOドライバの音と普通のパソコンの音はUS-366でミキシングされます。これでASIOドライバを使っていると他のパソコンの音が出ないという不便も解決します。そうそう、光デジタル接続であってもステレオ音声は2チャンネルのトラックとして扱われますのでミキサ画面でLINKしてください。

ちょっと話がそれますが光デジタルで使っている時にASIOドライバ経由での出力が失敗する事があると思います。それはサンプリング周波数の違いが原因です。光デジタル入力のサンプリング周波数とASIOドライバ経由のサンプリング周波数が異なるとミキシングできません。光デジタル入力のサンプリング周波数が優先されるようです。このような場合はASIOドライバ側のサンプリング周波数に合わせ光デジタルのサンプリング周波数を変えてやります。
音楽ファイルなどをASIOドライバで再生している場合は音楽ファイル毎にサンプリング周波数が違っている場合があり面倒になります。CDリッピングのファイルは44.1kHzでMP4は48kHzだったりとかするからです。こんな場合は光デジタルケーブルを抜いたほうが早いです。

音質については私は判らないので特に書きません。2万円以下のオーディオインターフェースですから鳴ればOKです。しかし一つ最初に気になったのはヒスノイズが聞こえる事です。小さい音ですがサーっというノイズが常に聞こえます。最近はアナログな音声と接することが無かったので新鮮で懐かしい。アナログ系のミキシングを行うとひどくなるのでミキサを使わない時は入力レベルを最低にしておきます。
ノイズはUSBの電源が原因という話もあるようです。USBハブなどを使いパソコンからではない電源を使うと何がしか改善するそうです。
USBオーディオが流行ってますので自作する方もいるようですね。EMIフィルタを入れるだけでも良さそうです。気が向いたら試してみようかな。

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