超大容量のAnker PowerHouseに惹かれるが冷静に使い方を考えてみる

Ankerの大容量ポータブルバッテリーPowerHouseを買うか考え中です。容量120600mAhってほんとかな?


東北の地震後の計画停電に背中を押され発電機を購入しました。
非常用の発電機を選んでみる

しかしエンジンの発電機は使い勝手が悪いです。電気は貯める事ができないので発電の効率が悪いです。電気をたくさん使っていても全く使わなくともエンジンはガソリンを消費して動き続けます。電気の使用量に応じて発電量を調整する事はほぼできないのです。非常時に貴重なガソリンを浪費したくはありません。
そのため、電気を貯めることができるバッテリーと組み合わせて使うと若干効率を上げる事ができます。重くてうるさいエンジンよりバッテリーを持ち運ぶ方が良いですしね。

スマホ程度なら太陽電池パネルを用意しておくことをお薦めします。わざわざエンジンで発電するのは馬鹿らしいほどわずかな電気でうごいています。
Ankerのソーラーチャージャーでスマートフォンを充電すると何時間かかるのか?
これとセットで単三型充電池の充電器があれば心づよいでしょう。いつも晴れとは限りませんからね。
ニッケル水素充電池4本でZ3 Compactを70%充電できた

よりたくさん電気を使う場合にエンジン式発電機の出番となります。非常時にはほぼ意味ない気もします・・・。が、想定としては、
  • テレビ - 見れれば精神的に落ち着くかな?アンテナ無いなぁ。
  • 冷蔵庫 - 氷を作りたい。冷やしたいという需要はあるはず。
  • 電子レンジ - ガソリンで物を温めるには効率が良い。無理に使う必要はありません。
  • 照明 - いつでも使えると精神的に落ち着くでしょう。最近のLEDだと電気は少なくて済むのでエンジンを回すのはもったいない。救助などの必要があれば24時間使いたい。
  • ラジオ - これまたエンジンを回すのはもったいない。でも24時間使いたい。
とかでしょうか。
結局、照明、ラジオ用の電源として使う事になるのでしょう。しかし、エンジンの発電機との組み合わせとしては最悪です。エンジンへの負荷が軽すぎです。バッテリーを充電してバッテリーで照明、ラジオを動かすようにしなくては使い物になりません。

自動車のバッテリーは実際のところ使い物になりません。再充電はできないものと思った方が良いです。車検でバッテリー交換を勧められることが多いでしょう。
しかし、価格的にこれしかないので良く使われます。

最近はバッテリーと言えばスマホのバッテリーが一番なじみがあるでしょう。スマホにはリチウムイオンバッテリーが多く使われています。電気がたくさん貯められて繰り返し充電ができます。

当然、リチウムイオンでもっと大きなのがあればいいんじゃないか?という発想になりますね。そういった製品もいくつか出ていました。
東北の震災の後はいろいろな非常用バッテリーが相次いで発表されました。計画停電が理由でしょう。



しかし、お値段もそれなり。事業者向けですね。
非常用とはいえ家庭で使うには費用対効果が悪すぎます。家の補修費用の積み立てにまわした方が良いです。地震保険に入ってないならまずそちらから。

容量の少なめ(とはいえスマホレベルよりはるかに大きい)の製品も出ていましたが、試しに買うには勇気がいるお値段でした。なにより一時の需要、急な設計のにおいがしましたので。

こんな事も忘れかけたころ熊本で大きな地震が起きました。改めて非常用品のチェックをしました。食品の賞味期限が・・・。

非常用バッテリーでより良い製品は出ていないのかなと気にしているときにAnkerがPowerHouseという製品を発表していました。なぜかこの記事執筆時点でUSのサイトに商品情報が無いですね。USアマゾンではもう発売されています。

スマホのバッテリー関連で成長しているAnkerです。超大容量のポータブルバッテリーを出してきたというのですから気になります。
何やらオプションで太陽電池パネルでの充電も可能になるようです。これは期待。
製品のスペックをチェックせずにはいられません。

まずは基本のバッテリーです。リチウムイオンバッテリーを使っています。容量は434Whと書かれています。なんだか判りませんね。
スマホバッテリー的に書き直すと120600mAhだそうです。
えっ、120600mAh? まだピンときません。iPhone6のバッテリーは3000mAh弱だそうです。つまり、iPhone6の約40台分です。

と、宣伝文句には書いてあるようですが嘘とホントが混じってます。電池の容量としては本当でしょうが実際に取り出せる電気の量は別の話でしょう。

ちなみにどうやったら434Whが120600mAhになるのでしょうか。電力(ワット、W)から電流(アンペア、A)への変換がありますので電圧が問題になります。きっとスマートフォンのバッテリ電圧3.6Vが絡んでるので、
434(Wh) / 3.6(V)  = 120.6(Ah) = 120600(mAh)
ですね。3.7Vとして計算すると減っちゃうんですけど。

US Amazonには分解したレビューがあります。
Internal Construction Details - Absolutely not user-serviceable!, April 28, 2016 

USアマゾンの分解レビューでもう少し類推してみます。16850という規格のバッテリーが36本使われているそうです。大きな単三電池みたいな形をしています。
その1本の容量はいくらでしょう?
120600mAh / 36 = 3350mAh
となりますので1本当たり容量3350mAhのバッテリーを使っている事になります。検索すると実際にその容量の製品がありますね。とても大きな容量です。

この36本のバッテリーがどうやってつながっているかを次に推測します。バッテリーを直列につなぐと使える容量が減ってしまうからです。

ここからは私の類推を書きます。実際の製品とは関係がありませんのでご注意ください。
分解レビューによると36本のバッテリーは18本ずつ固定されているとあります。多分18本が直列か並列に接続されています。

電圧3.7Vの電池を18本直列に接続すると64.8Vにもなってしまいます。取り出せる電気の容量も1/18になります。あり得ません。

それでは単純に並列接続だと思いましょう。18本並列にしてそれを2つ直列に接続して合計36本、電圧は7.2Vです。PowerHouseの出力には12Vのシガーライターソケットと5VのUSB端子があります。7.2Vを5Vに降圧するのも12Vへ昇圧するのも電気回路的に無理はありません。使える電池の容量は直列にバッテリーをつなぐので半分に減ってしまいます。

もしかしたら36本全て並列かもしれません。するとバッテリーの電気は無駄なく取り出せます。
ところが、12V10Aのシガーライターソケットの出力を作るのに無理が生じます。
3.6Vから12Vにすることはできます。しかし、電流が10Aとなると難しくなります。電圧が3.3倍になるので電池から取り出す電流も3.3倍にしなくてはなりません。すると30Aを超える電流になります。30Aを流せる電線というのは家庭ではあまりありません。家電製品の電源コードはだいたい15Aの電気を流せます。つまり家電の電源コード2本分の太さが最低限必要です。
自動車の電装品を自分でいじった事がある方なら見たことがあるでしょうか。家庭用としてはギリギリの電流といったところです。
USアマゾンのレビューも電線の太さに触れていますね。

さらにAC110V/1.3AというAC出力を考えると
1.3(A)×110(V)/3.6(V) = 40A
の電流を電池から取り出す計算になります。全くロスの無い理想状態で40A必要ですから実際はもっと流せる電線が必要です。やはり全部並列は考えにくいです。

という事で、18本並列にしたものを2つ直列に接続していると思われます。使える容量は半分になってしまいますが必要な電線の太さも半分になります。

こんな感じで類推を進めます。

2つバッテリパックを直列にし7.2Vの電圧にすると使えるバッテリー容量は半分の約60Ahになります。AC出力は約140Wまで可能です。ず~っとその出力で何時間使えるのでしょうか?

バッテリーが2つ直列の7.2VからAC110V/1.3Aを作ろうとすると
1.3(A) × 110(V)/7.2(V) =19.9(A)
バッテリーからは少なくとも20Aの電流を取り出さなくてはなりません。ですから単純には
60Ah/20A=3h
3時間と計算できます。18本のバッテリーで20Aですから1本当たり1.1Aです。これも無理のない数値となります。

実際は変換効率やバッテリー電圧の低下がありますので6~7掛けで済めばかなり良い方でしょう。まぁ、半分使えればいいと思います。
20インチくらいのテレビは40Wほどの消費電力だそうです。使える時間を計算してみましょう。
効率は0.6としました。実際の効率は判りません。
0.6×3(h)×140(W)/40(W) = 6.3(h)
と 6時間は使える計算になります。80Wの電気製品なら半分の3時間ですね。

アマゾンの宣伝文句に"TVなら連続約4時間"とあります。30インチを超えるテレビでなければこの時間は使えそうです。

以上、類推終わります。実際の製品の性能とは何も関係ありません。

似たような製品はすでにありました。しかし、大容量のリチウムイオンバッテリーはまだ怖いです。スマホで時々燃えてニュースになってますよね。
微妙に性能が違う電池を並列に繋ぐと特定の1本にしわ寄せがいきます。そこが壊れると次の一本へとしわ寄せがいき、そしてすべて壊れます。本数を増やせば容量が増えると単純にいかないのが面倒なところです。

スマホで鍛えられたAnkerですからでリチウムイオンバッテリーの扱いは信用できるところです。大電流の初物という点が引っかかります。

スマホから見るとものすごい性能のポータブルバッテリーに感じますがテレビをつけるのが精一杯です。電子レンジを動かしたりお湯を沸かすにはまったく足りません。
だからこそエンジンの発電機とうまく組み合わせて使いたいものです。

冷静に考えると使い道もなく性能も中途半端なのですが、今までできなかった事を可能にする製品でもあります。そこに惹かれてしまいます。バッテリーの性能がもっと上がれば電気製品の使い道が大きく拡がるのです。

あぁ、太陽電池パネルのオプションが出たら買っちゃおうかな。

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