Slic3rのサポート設定をいじりながらハク姐さんを造形してみた
最近は3Dプリンタをいじってます。サポートが無いと造形できないモデルの出力をどうするか試行錯誤中です。
Curaのサポートは全く役に立たないのでSlic3rを使っています。
複雑なモデルを造形する勘所を理解するため、今回はハク姐さんを造形してみます。
"Yowane Haku" 3D Printable model (STL)
http://www.thingiverse.com/thing:43006
Repetier-Hostで開くととても小さく読み込まれるので25倍に拡大します。
ノズル系は0.4mm、積層厚は0.2mmにします。少しでも表情の分解能を上げるため仰向けに置きました。
これをスライサーのサポートありでスライスします。
が、どうもサポートの付き方が納得できません。
アホ毛をサポートしてくれるのかな?という雰囲気ですが、構造的に後頭部オーバーハングのサポートのようです。
オーバーハングの角度的にアホ毛はサポート無しになるのも判るのですが、このアホ毛は造形できないでしょう。点で支えるアホ毛。
別の角度で手の袖部分を見てみると
手の甲に何かサポート材が配置されています。袖をサポートしようとしてくれてるのかな?何も支えてない気がする。そもそもこのサポート構造が造形できる気がしない。空中に輪っかを作らないで。サポート材が造形部をサポートにしてるでしょ。何をしてくれようというのでしょう。
Curaではいじれる設定が無いので使うのをやめました。
が・・・スライス時間がとてもかかります。Generating support material で動作を停止したかのように進みません。20分くらいするとスライスが終わります。この時点でSlic3rもダメな感じです。スライスの条件を変える毎に20分とか条件設定をしていられません。
場合によっては1時間以上待っても何も進みません。
何となくSTLのエラーが残っているのが原因じゃないかという気もしますが、エラーの無いモデルでも時間がかかる事があります。slic3rのバージョンは1.2.9で最新のものです。
これは以前のバージョンからずっと続く不具合のようです。
私は技術屋なので、この辺は難しいだろうなぁと想像できます。オーバーハングの角度というものを求めるアルゴリズムを自分で作ろうと想像すると・・・アルゴリズムを作れない・・・
三角形のポリゴン一つの角度を求めるのは簡単にできます。しかし、そのポリゴンが集まって大きな形状の一部となったとき、広い範囲の角度ってどうやって決めれば良いのでしょうか。
なだらかな曲面の場合、凹凸が細かくある場合、一部だけ突起がある場合など全体を俯瞰して見ないと判らない形状の判断をプログラムにさせるのはとても面倒なことなのです。
サポート材は人力で付けた方が簡単確実だろうなぁと。
今回はSlic3rでできる事できない事の把握の意味もあるので続けてみます。
オーバーハングスレッショルドの値がほぼ意味をなさないので適当に入れた数値とスライス結果を見て決めます。今回は72度にしてみました。
また、Advance設定のExtruction widthをところどころ 0のautoではなく数値指定をしました。
Default extrusion width : 0
First layer : 200%
Perimeters : 0
External perimeters : 0.4
Infill : 0
Solid infill : 0.6
Top solid infill : 0.6
Support material : 0.6
autoで計算されるサポートwidthに何か違和感があったためです。
このwidthは基本的にXY面の分解能になるはずです。第一層目はベッドへの着きを良くするため太めの設定にしますが、1層目に何もないのに2層目で曲線を置こうとします。
ノズル径は0.4mmを使っていますがどう反映されるか把握できませんでした。パーセント指定をするとlayer heightに対しての値になるようですが、積層厚0.2mmなら200%が基本的な設定になるのでしょうか?
ソースを見れば判るのでしょうが、ちょっとプログラムの意図を把握できかねます。
また、手動設定することで外壁と充填部の間に隙間が空いたり、天面が埋めきらず隙間が空くのを防いでいます。
そんなこんなでスライスに数十分かかりましたが、何かできました。
サポートに埋まってます・・・
今回はデュアルノズルを使いません。本当はPoly Supportも使ってサポートを簡単に取れるようにしたいのです。ですがノズルのオフセット値の計算がおかしいようで座標がずれる事があります。
時間のかかる造形をする時はベッドから剥がれないようにできるだけブリムやラフトを設けるようにしています。このブリムかラフトの座標がオフセット分ずれてスライスされるのです。
またデュアルノズルにすると造形幅が3cmほど小さくなります。ブリムやスカートの場所を確保すると造形可能サイズがさらに小さくなります。
フィギュアのような顔が命の造形の場合、顔部分での解像度を上げておきたいです。分解能はノズル径の0.4mmで固定ですから造形サイズを大きくして相対的に解像度を上げます。
サイズが小さいとスライスのプレビュー時点で誰だかわからない顔になってしまいます。
そういう意味では造形可能最大サイズギリギリで作った方が良いのですが、造形時間やらフィラメントの使用量を考えて今回は半端なサイズで試しています。
しかしこれは。サポート材を除去できないですよね。きっと。
まぁ、今回はExtruction widthとサポートのでき方を中心に実験しますので取れなくてもいいです。
一晩放っておいてできました。
ABSの温度を1℃下げたら積層割れをところどころ起こしました。余計な事しなければ良かったかな。
改めて・・・サポート取れないだろう・・・
バリバリ
サポートをハニカムで作ったせいでしょうか・・・頑丈です。一枚壁なのに頑丈。これはサポートのwidthを0.6mmにしたせいかも。
こうやって設定値の影響を体感した方が理解が進みます。
積層割れを頼りにサポート構造を壊していきます。割れてなかったら歯が立たなかったかも。
ラジオペンチで壊しながら引き剥がしていきます。
20分ほどすると何かゾーンに入りました。
耳垢掃除、甘栗の皮むき、カニの身の引き抜き、サザエの身のくり抜きなどに似たうまく剥がれた時の快感。ちょっと楽しい・・・
1時間ほどベキベキ・バリバリすると
概略サポートを取り終えました。とりあえず形は維持できています。
アホ毛は半分無くなりました。
細かい部分のサポートを除去できていません。腕と腹の隙間とか埋まってます。
髪の毛のサポートがきれいに取れない部分があります。
モデルを頭の中に入れてないと壊してはいけないところを壊しそうです。最後はモデルを見ながら除去しないとダメそうです。
前髪のオーバーハングを支えるためサポートが置かれています。ちょうど目がつぶされる場所なのでよろしくありません。
円形台座の積層割れをさらに割ってしまいました。
足の形や袖口などちゃんとできています。簡単にサポートと分離できました。
頭部も意外と簡単に剥がれました。アホ毛の分離はさすがに難しい。
髪を束ねるリボンもちゃんとできています。しかし細かくサポート材と一体となっていてきれいにするには時間がかかりそう。
今回はサポートのインターフェースレイヤー数を3としました。大きな曲率の部分は簡単にサポートを剥がす事ができます。しかし、細かく入り組んだ形状部分ではインターフェースレイヤのフィラメントがくねくね曲がり、フィラメントを太くしたような塊になり、かえって丈夫な構造物になってしまってます。さらにモデルとの境界がはっきりしなくなります。
次回試す場合はサポートのwidthを0.3mmにして細く薄くしてみようと思います。インターフェースレイヤー数を増やすと壊しやすくなるでしょうか。ハニカムをやめてピラーにしようっと。
ほんの少しフィラメントの吐出量を少なめにした方が良いかな?
といろいろ試したいのですがスライスに時間がかかりすぎます。サポートの場所もある程度自分で決められないと複雑なモデルは今後難しいかな。
あぁ、Simplify3Dを買おうかどうしようか。
造形の勘所を把握できたら次は表面仕上げの方法とかへ行ける事になりますがまだまだ時間がかかりそうです。
Curaのサポートは全く役に立たないのでSlic3rを使っています。
複雑なモデルを造形する勘所を理解するため、今回はハク姐さんを造形してみます。
"Yowane Haku" 3D Printable model (STL)
http://www.thingiverse.com/thing:43006
Repetier-Hostで開くととても小さく読み込まれるので25倍に拡大します。
ノズル系は0.4mm、積層厚は0.2mmにします。少しでも表情の分解能を上げるため仰向けに置きました。
これをスライサーのサポートありでスライスします。
が、どうもサポートの付き方が納得できません。
Cura Engineでのサポート材
Curaでサポートを付けるとこうなります。オーバーハングのスレッショルドは45度です。アホ毛をサポートしてくれるのかな?という雰囲気ですが、構造的に後頭部オーバーハングのサポートのようです。
オーバーハングの角度的にアホ毛はサポート無しになるのも判るのですが、このアホ毛は造形できないでしょう。点で支えるアホ毛。
別の角度で手の袖部分を見てみると
手の甲に何かサポート材が配置されています。袖をサポートしようとしてくれてるのかな?何も支えてない気がする。そもそもこのサポート構造が造形できる気がしない。空中に輪っかを作らないで。サポート材が造形部をサポートにしてるでしょ。何をしてくれようというのでしょう。
Curaではいじれる設定が無いので使うのをやめました。
Slic3rでのサポート材
という事でSlic3rでスライスする事にしました。が・・・スライス時間がとてもかかります。Generating support material で動作を停止したかのように進みません。20分くらいするとスライスが終わります。この時点でSlic3rもダメな感じです。スライスの条件を変える毎に20分とか条件設定をしていられません。
場合によっては1時間以上待っても何も進みません。
何となくSTLのエラーが残っているのが原因じゃないかという気もしますが、エラーの無いモデルでも時間がかかる事があります。slic3rのバージョンは1.2.9で最新のものです。
これは以前のバージョンからずっと続く不具合のようです。
Slic3r takes a long time to generate support materialまたサポートのオーバーハングスレッショルドの値も正しく反映されないようです。
"Slic3r was busy for 5 hours, until I killed the process."
Overhang Threshold Setting Problems
"My problem has to do with the Overhang Threshold angle setting. It appears that no matter what value I input, other than zero, it's either ignored or it makes very little difference in the generated support."
私は技術屋なので、この辺は難しいだろうなぁと想像できます。オーバーハングの角度というものを求めるアルゴリズムを自分で作ろうと想像すると・・・アルゴリズムを作れない・・・
三角形のポリゴン一つの角度を求めるのは簡単にできます。しかし、そのポリゴンが集まって大きな形状の一部となったとき、広い範囲の角度ってどうやって決めれば良いのでしょうか。
なだらかな曲面の場合、凹凸が細かくある場合、一部だけ突起がある場合など全体を俯瞰して見ないと判らない形状の判断をプログラムにさせるのはとても面倒なことなのです。
サポート材は人力で付けた方が簡単確実だろうなぁと。
今回はSlic3rでできる事できない事の把握の意味もあるので続けてみます。
オーバーハングスレッショルドの値がほぼ意味をなさないので適当に入れた数値とスライス結果を見て決めます。今回は72度にしてみました。
また、Advance設定のExtruction widthをところどころ 0のautoではなく数値指定をしました。
Default extrusion width : 0
First layer : 200%
Perimeters : 0
External perimeters : 0.4
Infill : 0
Solid infill : 0.6
Top solid infill : 0.6
Support material : 0.6
autoで計算されるサポートwidthに何か違和感があったためです。
このwidthは基本的にXY面の分解能になるはずです。第一層目はベッドへの着きを良くするため太めの設定にしますが、1層目に何もないのに2層目で曲線を置こうとします。
ノズル径は0.4mmを使っていますがどう反映されるか把握できませんでした。パーセント指定をするとlayer heightに対しての値になるようですが、積層厚0.2mmなら200%が基本的な設定になるのでしょうか?
ソースを見れば判るのでしょうが、ちょっとプログラムの意図を把握できかねます。
また、手動設定することで外壁と充填部の間に隙間が空いたり、天面が埋めきらず隙間が空くのを防いでいます。
そんなこんなでスライスに数十分かかりましたが、何かできました。
サポートに埋まってます・・・
今回はデュアルノズルを使いません。本当はPoly Supportも使ってサポートを簡単に取れるようにしたいのです。ですがノズルのオフセット値の計算がおかしいようで座標がずれる事があります。
時間のかかる造形をする時はベッドから剥がれないようにできるだけブリムやラフトを設けるようにしています。このブリムかラフトの座標がオフセット分ずれてスライスされるのです。
またデュアルノズルにすると造形幅が3cmほど小さくなります。ブリムやスカートの場所を確保すると造形可能サイズがさらに小さくなります。
フィギュアのような顔が命の造形の場合、顔部分での解像度を上げておきたいです。分解能はノズル径の0.4mmで固定ですから造形サイズを大きくして相対的に解像度を上げます。
サイズが小さいとスライスのプレビュー時点で誰だかわからない顔になってしまいます。
そういう意味では造形可能最大サイズギリギリで作った方が良いのですが、造形時間やらフィラメントの使用量を考えて今回は半端なサイズで試しています。
しかしこれは。サポート材を除去できないですよね。きっと。
まぁ、今回はExtruction widthとサポートのでき方を中心に実験しますので取れなくてもいいです。
造形
それでは造形してみます。材料はABSです。5時間ほどかかるようです。一晩放っておいてできました。
ABSの温度を1℃下げたら積層割れをところどころ起こしました。余計な事しなければ良かったかな。
改めて・・・サポート取れないだろう・・・
サポートの除去
それでは発掘してみましょう。バリバリ
サポートをハニカムで作ったせいでしょうか・・・頑丈です。一枚壁なのに頑丈。これはサポートのwidthを0.6mmにしたせいかも。
こうやって設定値の影響を体感した方が理解が進みます。
積層割れを頼りにサポート構造を壊していきます。割れてなかったら歯が立たなかったかも。
ラジオペンチで壊しながら引き剥がしていきます。
20分ほどすると何かゾーンに入りました。
耳垢掃除、甘栗の皮むき、カニの身の引き抜き、サザエの身のくり抜きなどに似たうまく剥がれた時の快感。ちょっと楽しい・・・
1時間ほどベキベキ・バリバリすると
概略サポートを取り終えました。とりあえず形は維持できています。
アホ毛は半分無くなりました。
細かい部分のサポートを除去できていません。腕と腹の隙間とか埋まってます。
髪の毛のサポートがきれいに取れない部分があります。
モデルを頭の中に入れてないと壊してはいけないところを壊しそうです。最後はモデルを見ながら除去しないとダメそうです。
前髪のオーバーハングを支えるためサポートが置かれています。ちょうど目がつぶされる場所なのでよろしくありません。
円形台座の積層割れをさらに割ってしまいました。
足の形や袖口などちゃんとできています。簡単にサポートと分離できました。
頭部も意外と簡単に剥がれました。アホ毛の分離はさすがに難しい。
髪を束ねるリボンもちゃんとできています。しかし細かくサポート材と一体となっていてきれいにするには時間がかかりそう。
今回はサポートのインターフェースレイヤー数を3としました。大きな曲率の部分は簡単にサポートを剥がす事ができます。しかし、細かく入り組んだ形状部分ではインターフェースレイヤのフィラメントがくねくね曲がり、フィラメントを太くしたような塊になり、かえって丈夫な構造物になってしまってます。さらにモデルとの境界がはっきりしなくなります。
次回試す場合はサポートのwidthを0.3mmにして細く薄くしてみようと思います。インターフェースレイヤー数を増やすと壊しやすくなるでしょうか。ハニカムをやめてピラーにしようっと。
ほんの少しフィラメントの吐出量を少なめにした方が良いかな?
といろいろ試したいのですがスライスに時間がかかりすぎます。サポートの場所もある程度自分で決められないと複雑なモデルは今後難しいかな。
あぁ、Simplify3Dを買おうかどうしようか。
造形の勘所を把握できたら次は表面仕上げの方法とかへ行ける事になりますがまだまだ時間がかかりそうです。
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