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SUPパドルをプリントしてみた


パドルを3Dプリンタでプリントしてみます。
とても簡単なモデルです。3Dプリンタですぐに造形できると思いますよね。

ですがこういう形をプリントするのはとても難しいのです。モデルのプリント方法の勉強にちょうど良いかもしれません。


前回の記事
SUPパドルの3Dモデルを作る で作ったパドルを3Dプリンタでプリントしてみます。
私の3DプリンタはBonsai labのBS01+です。デュアルノズルです。ABSフィラメントでプリントしてみます。

とても単純なモデルです。全長も10cmほどです。


こんな簡単なモデルですが熱溶解積層法(FDM)による造形は難しいのです。形は何となくできますが綺麗にできるとも限りません。

単純な形のためプリント時に注意する事を知るにはとても良い形です。何より体積が小さいので失敗してもフィラメントの消費が少ないです。プリント時間も短く、かかっても1時間以内でできるでしょう。

それではプリントしてみましょう。
・・・
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ここで一番の難関が待ち構えています。
モデルをどうやって置くか? これが最大の課題です。

パドルの水をかく部分のブレードと柄の部分のシャフトは同じ平面上に置かれていません。少し角度が付いています。さりげなく面倒な形です。
3Dプリンタは造形ベッドの上に溶けたプラスチックを載せていきます。下に支えが無いとプラスチックを置くことができません。斜めの部分があると空中にプラスチックを置くことになってしまいます。

シャフトを水平に置いてみる


シャフトを水平に、ブレードを上向きに置いてみました。シンプルに考えるとこの置き方になるでしょうか。プリント時間も短く済みそうです。
問題となるのはブレードの下に向く面です。造形ベッドから離れてしまいます。

オーバーハング角度は75°ほどになります。サポートを付ける必要があります。サポートは溶けたフィラメントの支えになります。後でモデルから剥がさなくてはなりませんのでモデルとは密着していません。普通は1層の厚さ、例えば0.2mmほど隙間を空けます。その分フィラメントが垂れてしまいます。
また、サポートを剥がしやすくするためモデルの面をすべて支えるように作らず、数ミリ間隔で支える構造にする事が多いです。数ミリ程度ならば支えが無くともそれほどフィラメントは垂れずに済むのです。ただし、これは真っすぐにフィラメントを置いた場合です。
空中に真っすぐフィラメントを伸ばす分には数cmの距離を支え無しに作ることができます。しかし、真っすぐではなく空中で向きが変わるような場合はノズルの移動する向きに引っ張られて形が崩れてしまいます。

文字ではなんだかわかりませんね。実際にプリントしてみましょう。


ブレードの下に向いていた面をアップで撮影しました。デコボコですね。ブレードの輪郭部分が乱れています。ノズルの移動方向が変わる場所なので正しい位置にフィラメントを置くのが難しいのです。

今回のブレードの形は幅の広い面なのでサポート無しでも造形する事ができます。プリントされた本体を足掛かりとして空中に向けフィラメントを置いていけます。


シャフトのブリムが付いたままですみません。ブレードの面のデコボコが少ない感じになってます。温度や造形速度によってこの面の出来は変わってきます。綺麗に見えますが輪郭部分は元の位置とは違う形になってしまったようです。

この程度の面積と単純な面なので、後でヤスリで綺麗にすることは簡単にできます。ヤスリで削る事を前提に、ブレードの厚みを少し厚くモデルを作るのもありです。

しかし、平面が少なく曲面だらけとか細く脆い部分があるモデルの場合はヤスリがけという選択ができない場合もあるでしょう。

シャフトを垂直に置いてみる

次にブレードの面を綺麗にプリントする事を優先に考えてみます。ブレード面にサポートが必要にならないように置いてやれば良いのです。単純比較のためシャフトが垂直になるように置いてみます。


シャフトとブレードの付け根の部分にはサポートを置きます。ブレードと造形ベッドの接触面が小さいのでブリムを付ける必要があるでしょう。ブレードのエッジを支えるサポートがあった方が綺麗にできます。

プリントしたブレードの面を見てみます。


水平置きに比べて綺麗にできています。いいですね!

ですが、代わりにシャフトがボロボロになります。


積層が安定しません。シャフトは細長いため高さが高くなるほどプリントされた本体がノズルに引きずられて揺れてしまいます。

この積層の乱れはシャフトの横にサポートを置くことで改善できます。


サポートはプリントされたモデルを確実に固定するためにも使えます。ほとんどのスライサーの自動サポートは下を支える事しか考慮しません。SIMPLIFY3Dの手動サポートはとても便利です。

サポートは簡単に取り外せます。これでパドルのプリントは完成です。

とはなりません!

垂直起きには欠点があります。
プリント時間が長くなります。水平置きの5倍以上はかかるでしょうか。断面積が小さいため置いたフィラメントが冷える前に次の層のフィラメントが置かれます。すると形が崩れるので次の層を造形するまでの間時間を空けます。そのため、プリント時間が増えます。

パドルを何本も並べて一度にプリントすると冷やす時間は特別に設ける必要が無くなります。しかし、そんな量産するわけでもないですからね。

そして最大の欠点が、シャフトが折れやすい事です。
出来上がったモデルを少しでも曲げようとすると簡単にポキッと折れます。ポッキー食べたくなります。

これは積層型の欠点を強調してしまったプリント方向です。層間の接着はとても弱いのです。水平置きの場合のシャフトはとても丈夫で折れる事は無いです。

このモデルの設置向きは完全に失敗です。

さぁ、どうしましょう。ヤスリがけしますか。

MeshmixerのOrientationを使ってみる。

こんな単純なモデルでも良いプリント方向を考えるのは大変です。
前回の記事で私が知ったMeshmixerのOrientationを使ってみましょう。
MeshmixerのOrientation(向き)を使うと綺麗にプリントできるモデルの向きがすぐにわかって便利です

Orientationのパラメータを適当にいじってみると思ってもいない向きに置いてくれるでしょう。えっ、そんなの無理だろ、とか思ったりします。
ですが水平置きと垂直置きの欠点を理解した後で見ると、あぁなるほど、といろいろ考える事ができるようになります。


ものは試し、プリントしてみましょう。強度とサポートの量を優先してこんな設置方向になったようです。

今回はついでにMeshmixerのサポートも試してみました。
ベッドに接触した状態だとサポートの生え方がイマイチな気がしたのでパドル全体を浮かせています。


Meshmixerのサポート きもちわるい。

さぁ、プリントしてみましょう。


微妙な斜めさが層間の接触面積を稼いでいます。シャフトの部分は水平に比べれば弱いですが、斜めスライスにすると強度を稼げるという気付きを得られました。

ちょっとブレードの下の面のサポートが過剰な気がします。剥がせるかな?

Meshmixerのサポートを初めて使いました。比較的簡単に剥がせます。手で剥がすとモデルを折ってしまいそうな感触でした。ニッパーでちょっと挟むと簡単に取れました。力をほとんど入れずに取れます。
サポートの接触点がモデル側に残ってしまう事もあります。しかし、少しヤスリがけをすれば取れる程度ですので問題ない感じです。

それではブレードの下側の面を見てみます。


輪郭は再現されています。大きな乱れはないですが綺麗とは言えません。
オーバーハングの角度なりの品質です。
つまり、ブレード面を45°近くになるまでもっと傾ければ良さそうです。

シャフトの強度を確かめるため少し曲げてみました。結構しなります。簡単に折れる事は無いようです。水平から少し傾いた程度です。このくらいの角度なら円柱も頑丈なままです。

MeshmixerのOrientationは面白いです。

最終的な向きは

Meshmixerはモデル全体で平均的な方向を決めてくれます。シャフトのように明らかなプリント方向が推測できる部分、ブレードのように強度の心配がいらなそうな部分などもひとくくりで計算してしまいます。

Meshmixerで提案される向きを検討しつつ今回の最終的な設置方向は次のようにしました。


シャフトは水平に置きます。ブレード面は45°近くにしてサポートの必要を無くします。できればグリップ側の円環とブレードがベッドに接地する角度にして置きます。

プリントしてみます。


ブレードの下面が見える角度で撮ったので形が判りにくいかも。ブレードの下面が綺麗にプリントできている事が判るでしょう。シャフトの強度は最も強い方向です。
サポートも最小です。プリント時間も速いです。

形が崩れる場所も最小です。ブレードの下に向いたエッジが汚くなります。ここのオーバーハング角度がきついからです。角度を抑えるためには少しシャフトを立て気味に置きます。するとMeshmixerでの結果に近づいていきます。
あとは、プリント時間なども考慮して決める事になるでしょう。背が低い方が速くプリントできますしね。

モデルの向きを考えるのもおもしろい


こんな簡単なモデルをプリントするだけでも考える事がたくさんあります。複雑なモデルの方が逆に悩まないかも。置ける向きが必然的に決まりそうですからね。

今回のような簡単なモデルで3Dプリンタの得意なプリントと不得意なプリントを実感すると、3Dモデルの作り方も変わってくると思います。こんなもんプリントできねぇ、というデザインを避けれます。

3Dプリンタでプリントしたものはヤスリがけなど後工程で修正が必要な事がほとんどです。ですができる限り綺麗にプリントした方が良いですし、実用品ならヤスリがけの手間を省けます。

積層痕の向きによってはWoodフィラメントを使って木の感じをより引き出せるかもしれません。Woodフィラメントでサーフボードを出力してみたいです。買おうかか悩み中。

私がやっと理解しだした3Dプリントのテクニックですがプロの方がやるとすごいのが作れるんですね。
こんなモデルをデザインできるようになりたいものです。すごいなぁ。



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