自宅でクラウドストレージを作れるNextcloudがまともに動かない

nextcloud error
NextcloudというWebベースのファイルサーバーを動かしています。Google Driveみたいなものを自宅のサーバーで動かせます。スマホのアプリでスマホの写真を自動的にアップロードもできます。ファイルを手元に残して管理したいという方にオススメです。
・・・と、紹介記事を更新する気でいるのにこの半年間アップデートの都度Nextcloudがどんどん壊れていきます。破綻寸前?


もう写真やビデオはスマートフォンでしか撮らないという人も多いでしょう。問題は撮った写真をどうするか?放っておくとスマートフォンのメモリーがいっぱいになってしまいます。SDメモリーカードを挿せないスマートフォンだとさらに深刻な問題です。こんな時はクラウドストレージを使って写真をクラウドへアップロードしていると思います。iCloudとかGoogle Driveとかですね。クラウドへアップすれば写真の共有も簡単です。

ですが、クラウドはネット接続ができなければ使えません。電波が届かない? 携帯会社やクラウドの会社にトラブル? てな事になると自分の写真なのに見ることはできません。こんな心配をする人は自分でちゃんと写真を保存しておかなくてはなりません。でも自宅のハードディスクに毎回保存するのは面倒だし、写真の共有もできません。
そこで、自宅でクラウドストレージを作ってしまえばいいという事になります。自宅でクラウドストレージを作れるオープンソースソフトウエアがあります。その一つがNextcloudというものです。

NextcloudをRaspberry Piで動かす方法を以前に紹介しました。
関連記事:Raspberry Pi 3でNextcloudを動かす時の注意点

Raspberry Piだと普通のパソコンとはCPUが異なるので少し問題がありました。それに安いとはいえRaspberry Piを持っている人も多くないでしょう。私もできれば普通のパソコンで動かしたいと思っていました。そしてWindows10の大型アップデートが公開され、WindowsパソコンでもNextcloudを動かせるようになりました。
関連記事:ラズパイのDockerからWSL2のDockerへ引っ越しする

この頃からあらためてNextcloudを使って自宅クラウドサーバーを作る方法を紹介するつもりでいました。ですがNextcloudがまともに使えるようになりません・・・私が設定できないのではなく、いくつものバグが発生して実用に耐えないのです。
そこで今回はNextcloudの不具合と回避策があれば紹介してみます。使い方によっては不具合は関係ないから使える方もおられるでしょう。

Nextcloudのバージョン

NextcloudはGithubで公開されています。
Nextcloud | Github
📱☁️💻 A safe home for all your data – community-driven, free & open source 👏
絵文字が書かれていますが、絵文字の文字コードをちゃんと扱えるよ、というのをアピールしています。
関連記事:ラズパイのDockerで使うデータベースイメージは何が良いか?🍣🍺

Nextcloudのバージョンは基本的に半年に一回メジャーバージョンアップするようです。そしてメンテナンスはリリースから1年間行われます。なかなか意欲的な更新頻度です。
Maintenance and Release Schedule 
release dateend of lifecurrent versionnext version
192020-06-032021-0619.0.1 (2020-07-16)19.0.2 (2020-08-27)
182020-01-162021-0118.0.7 (2020-07-16)18.0.8 (2020-08-27)
172019-09-302020-0917.0.8 (2020-07-16)17.0.9 (2020-08-27)

この記事公開時はバージョン19がリリースされていてバージョン17は2020年9月にメンテナンスが終わります。
Nextcloudは簡易的なクラウドサーバーからWebベースのグループウエアへの進化を目指しているようです。

Nextcloudの不具合

Nextcloudはとても精力的なプロジェクトなのですが、このところバグが放置され実用面で支障が出ています。
現在私は17.0.6を使っています。もうメンテナンスの切れるバージョン17でマイナーバージョンも最新ではありません。

外部ストレージに接続できない

Nextcloudはローカルのストレージだけではなくネットワーク上のストレージを扱うこともできます。AmazonやGoogleのクラウドストレージ、Windowsの共有フォルダ、SFTPやWebDAVで接続できるストレージをNextcloudで扱えます。
ですが、この記事公開時では問題があり安定して使える状態にならないようです。私はWindowsの共有フォルダを使っていました。自宅にNASを置いてファイルを共有しているという方も多いでしょう。そのような共有フォルダをNextcloudで公開する事ができるのですが、まともに動きません。
Windowsとのファイル共有を実現するSMBクライアントの機能に不具合が目立ちます。古いバージョンから多くのissue報告があります。
この記事公開時、バージョン17,18,19の最新バージョンでは外部ストレージの登録はできても、フォルダを開こうとするとエラーが生じます。また、大量のファイルがあるとアクセス中にエラーが生じるようでWindowsとの接続が切れます。
nextcloud error

ファイル名に”#”を含むとビデオのストリーム再生ができない

Nextcloudはファイルのプレビュー機能があります。写真やビデオをダウンロードする事なくブラウザ上で確認できます。Nextcloudが便利な理由の一つです。簡易メディアサーバーとしても使えます。ビデオや音樂ファイルを再生できます。余談ですがビデオの再生はブラウザの機能に依っています。Chromeではh.265の再生ができませんがEdgeなら再生できます。
とても便利なストリーム機能なのですが、バージョン18からファイル名に"#"を含んでいると再生できなくなっています。私はビデオの順番を#1、#2などと名前を付ける事が多く、ほとんどのビデオを再生できなくなってしまいました。

まとめ

Nextcloudは自宅でクラウドサーバを設けるのにとても適したソフトウエアです。外部のストレージサービスに接続する事もでき、一括したクラウドファイルの管理もできます。ですが、その機能に不具合が多くうまく動く時期が短いです。
この記事では私が関心のある不具合を紹介しました。
外部ストレージの接続、特にSMBでの接続ができません。
ファイル名に”#”を含むとビデオをストリーム再生できません。バージョン17を使う必要があります。

オープンソースソフトウエア(OSS)は数多くの他のOSSを組み合わせて作られています。そのため、他のOSSのバージョンが新しくなると動かなくなる事が多々あります。うまく動く組み合わせを維持するとバグやセキュリティの穴が放置されるし、新しくすると動かない、という問題を常に抱えています。
個人的にファイル名に"#"があるとビデオのプレビューができないのが痛いです。

私は、外部ストレージの不具合が継続するので、ファイルをローカルに置いてマウントするようにしました。NextcloudをWindowsで動かせるようになったのでWindowsマシンにネット共有していたファイルをまとめSMBなしにNextcloudで使えるようにしました。

ちゃんと動けばNextcloudはとても良いソフトウエアです。クラウドにすべてファイルを預けてしまうとイザという時困ってしまうかもしれません。ネットがつながらない、クラウドのサービスがメンテナンス中、なんて事で小さな会社なら潰れてしまいます。手元にファイルを残す安心感と利便性を考えると動かしておきたいソフトウエアです。ちゃんと動けば・・・

Nextcloudは使い始めるのも設定が大変です。もっと安定して動くようになったらあらためて設定紹介の記事でも書いてみます。

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