ノズル温度が振動するのでPID制御パラメータの調整をした【Tronxy XY-2 PRO TITAN】

最近、3Dプリンタ Tronxy XY-2 PRO TITANのプリント品質がガタ落ちです。原因がわからずにいたのですがノズル温度をシリアル通信でモニタすると±5℃も振動していました。PID制御パラメータのチューニングをしてみます。

最近プリントすると積層痕がやたら目立って汚くなっています。
print surface
左は最近の、右は一番最初のです。
USBーシリアルでXY-2 PROを使っていたのですが、電源にサイレンサを付けようと横倒しにしてから動作が変になりました。X軸の移動命令を送るとZ軸も一緒に動きます。何これ?壊れた?
タッチパネルでデフォルトボタンを押したら直ったみたいなんですが、どうもそれからキレイな出力ができなくなりました。
nozzle temperature oscillation
ノズル温度がどうなってるか見てみたら発振してました。±5℃ 10℃も変動しています。
USBーシリアル通信を行う時は温度モニタを停めておけ! と以前に言ったので、発見が遅れてしまいました。
なぜ? いつから?

電源を入れるとPID制御パラメータはfirmwareのデフォルト値になっているのは確認しました。
M301 P22.2 I1.08 D114
買った直後もこの値だったのか? デフォルトボタンを押してこうなったのか? 原因はわかりません。

発振している以上、PID制御パラメータを変えなくてはなりません。自動チューニングコマンドを実行してみました。
M303 E0 S200 C8

チューニングが終わるとPIDの制御パラメータが表示されるはずなのですが、Pの値しかシリアル通信では表示されませんでした。これが10回に1回くらいIとDも表示されるみたいなのでChitu firmwareの怪しさ爆発です。
表示されなくともチューニングしたパラメータは設定されています。ですが、このチューニングパラメータではまだ発振してしまうのです。自力でパラメータを決めなくてはなりません。

PID制御パラメータの決定方法がこのページで解説されています。
PID Tuning
PID tuning refers to the parameters adjustment of a proportional-integral-derivative control algorithm used in most repraps for hot ends and heated beds.
下の’PID Tuning’のページではパラメータの計算式が間違っている気がします。Wikipediaの方で行いました。

PID制御パラメータはオートチューニングで出てきたKuとTuの値から求められます。そして4種類の計算式が出ています。"Classic", "Pessen Integral Rule", "some overshoot"と"no overshoot"です。
PID制御パラメータを設定するコマンドを表示するページを作っておきました。
KuとTuの値を入れるとパラメータが計算されてM301コマンドが表示されます。
(時々KuとTuの値も表示されない事がありました。そんな時はM303コマンドをもう一度やりましょう。)

M303命令ではClassicのパラメータで設定されます。Classicではダメだったので他ので安定してくれないと困ります。4つ試したところ"some overshoot"だけ温度が安定しました。安定するまでの時間も短いです。当面はこの値を使っていくことにします。
手動で調整も試みたのですがDパラメータの効きが悪い気がして追い込めなかったです。Pパラメータを小さくするのが一番効果的でした。
温度センサーの取り付け状態もいつか確認したいです。

ノズル温度が安定するとプリント結果も安定してきました。ですが糸引きが酷いので引込距離retraction distanceの調整をしました。どうもTronxyのノズルは引込距離が長いようです。今は9mm以上で様子を見ています。距離が長いので引込速度も速くしないとなりませんがフィラメントがギアで削れる心配があります。40mm/sで様子を見ています。
距離が長いのはどうやらノズルの構造に原因があるようです。Ender 3のホットエンドに交換しようかな・・・。長さが違って面倒みたいですけど。

Tronxy XY-2 PROはとても安く、ちゃんと動けば素晴らしい3Dプリンタだと思います。そこそこ不具合があった方が自分であれこれ考えて勉強にもなります。間違ってもメーカーサポートなど当てにしてはいけません。素材としてとても優秀です。
いろいろ不具合を改善していけばいつかはEnder 3と同じになることでしょう。


コメント

  1. 購入して数ヶ月の「TRONXY XY-2 PRO」が同様にノズル温度が安定せず途方に暮れていました。
    サポートに連絡するも「温度センサーの故障」と案内され、温度センサーを交換しましたが現象変わらず・・・
    そんな時にこのページに辿り着き、お陰様で元の通りの安定を取り戻すことが出来ました!

    ちなみに当方環境では、「Some Overshoot」では安定せず、「No Overshoot」でピタリと安定させることが出来ました。
    決して参考にはならないと思いますが、当方環境での値を追記しておきます。

    ■M303 E0 S200 C8の結果
    Recv: // bias:97 d:97 Ku: 27.598745 Tu:28.799999
    Recv: // Kp: 16.559248 Ki:1.149948 Kd:59.613293

    ■安定した設定値
    Send: N133 M301 P5.51975 I0.38332 D52.98959*67
    Recv: //orig:P:16.118402 I:1.088861 D:59.650181
    Recv: //current:P:5.519750 I:0.383320 D:52.989590
    Recv: ok N:133

    このページに辿り着かなければバラバラにして部品取りとして利用することも
    考えていた所でしたので、本当に嬉しくて堪りません!
    特にTRONXYの情報は少ないので、このような的確なブログを残して頂いたことを
    本当に感謝いたします。

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    1. コメントありがとう!役に立ったようで良かったです。
      季節が変わると安定までの時間も変わっています。ノズルのファンが強すぎるのも一因みたいですが、弱めると糸引きしそうでやっていません。個体差がどのくらいあるのかも気になるのでPIDパラメータを比較できるとおもしろいかもしれませんね。

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