Temperature Towerをプリントしてフィラメントに最適なノズル温度を決める【Ultimaker Cura】

タイトル

フィラメントの温度をどうやって決めたらいいか? 新しいフィラメントを買ったなら最初にTemperature Towerをプリントして一番綺麗にできるノズル温度を決めます。

前回ホットエンドのオーバーホールをしたのでスライサの設定をすべて見直しています。

TronxyのXY-2 PROを使っているのですがノズルからフィラメントがダラダラ垂れていました。リトラクション距離を9mm以上、引き込み速度を60mm/s以上にして何とか糸引きせずにプリントしていました。
オーバーホールをしたら引き込み距離3mmでもほとんどフィラメントが垂れなくなりました。何かおかしかったようです。

となれば、今までのスライサ設定はすべて見直す必要がありそうです。まずはフィラメント毎のノズル温度を決め直します。
新しいフィラメントを買った、ホットエンドのオーバーホールをした時などはTemperature Towerをプリントしてノズル温度を決め直しましょう。

Temperature Tower

Temperature Towerはノズル温度によってプリントの品質がどう変わるかを見るための3Dモデルです。オーバーハングやブリッジなどがあるモデルになっています。
モデル自体に特別な点は無く、単なる3Dモデルです。
モデルの例
Smart compact temperature calibration tower by gaaZolee
  http://www.thingiverse.com/thing:2729076
 is licensed under the Creative Commons - Attribution - Share Alike license.
  http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/
Temperature Tower

Temperature Towerはいろいろなモデルがありますが構造はほぼ同じです。一番下に土台があり、一定の高さで同じ構造のモデルが積み重なっています。一段ごとに温度となる数字が刻まれているでしょう。

特別なのはスライサの設定です。
高さによってノズル温度を変えたG-CODEを作らなくてはなりません。その方法はスライサ毎に若干異なります。スクリプトやUIでモデルの範囲とノズル温度を対応付ける事になります。

Ultimaker Curaの場合

Ultimaker Curaの場合を紹介します。
一度スライスしてできたG-CODEを変更するスクリプトを動かして特定のレイヤーの設定を書き換えます。これはPost Processing Scriptsというところで行なえます。高さで設定を変えるスクリプトはデフォルトであります。ChangeAtZスクリプトを使います。
Curaのメニューから
Extensions → Post Processing → Modify G-CODE
と選ぶとスクリプトの追加画面が現れます。
そして"Add a Script"ボタンを押します。現在使えるスクリプトの一覧が表示されます。"ChangeAtZ"を選択して追加します。

ChangeAtZスクリプト

ChanegeAtZスクリプトは指定の高さになった時にノズルの温度、プリント速度、リトラクション距離などを変更します。
高さの指定はmm単位かレイヤー番号で行います。指定の高さの時だけ変更するか、指定の高さになった以降ずっと変更するかも選べます。Temperature Towerの場合は指定の高さ以降を変更します。

スクリプト1つで1つの高さでの変更しかできません。いくつも温度を変えるには変える高さ毎にChangeAtZスクリプトを追加していきます。
スクリプトが増えて高さと温度の割り当ての数値を間違えて入れてしまう事があるでしょう。ABSからPLAに変えた時など、温度の設定をし直さなくてはなりません。あまり便利とは言えません。

Calibration Shapes Plugin

CuraのプラグインにCalibration Shapes Pluginというのがあります。Temperature Towerのように3Dプリンタの調整に使えるモデルをメニューから選ぶだけで呼び出せます。もちろんTemperature Towerのモデルも呼び出せます。

Temperature Tower用のスクリプトも用意されています。"Copy Scripts"を選ぶと"Post Processing Scripts"で出てくるスクリプトが増えます。
"TempFan Tower”がそれです。このスクリプトは最初の温度、温度を変化させる差分、変化させるレイヤー数、土台の高さを指定するオフセットを設定できます。ファン速度を変えることもできます。ChangeAtZスクリプトのようにたくさんのスクリプトを追加する必要はありません。1つだけで済みます。ABSからPLAへ変えたときなども最初の温度を変えるだけで済みます。

ただし、高さの指定がレイヤー数なのでレイヤーの厚みを変えたらレイヤー数を変えなくてはなりません。Calibration Shapes Pluginで呼び出したモデルの高さがおかしいのか変化させるレイヤー数を端数にしなければならなかったり、モデルの上の方になると温度範囲とモデルがずれてしまいます。レイヤー数の設定が難しいと感じました。

温度の決め方

Temperature Towerでモデルがプリントできたら、出来上がったモデルを良く見て一番良い温度を決めます。
一番に優先するのは面の綺麗さです。温度が変わると面の粗さや艶などが変わって見えるはずです。キレイに見える温度範囲を絞ります。

次にオーバーハングとブリッジ部分を見ます。オーバーハングでフィラメントが垂れていたら温度が高すぎます。ブリッジも垂れているでしょうがヘッドの移動速度との兼ね合いもあるのでここでの優先順位は低いです。ブリッジが少し汚くとも構いません。

最後に糸引きを見ます。2つのタワーの間に細い糸が張り巡らされていいないか。モデルによっては小さい細いタワーもあります。細いタワーが潰れていないか、ダマになったフィラメントがくっついていないかなどを見ます。
これもヘッドの移動速度やリトラクション距離の影響を受けるので優先順位は高くありません。そこそこ出来ていればOKです。

あまりに糸引きとブリッジの垂れがひどい場合はプリント速度を変えたり、リトラクション距離を変えて造形し直します。フィラメントが湿気を吸ってうまくプリントできなくなっているかもしれません。表面が綺麗になる温度が見つからないならフィラメントに問題があるかもしれません。

それでも綺麗な温度が見つからないなら、ホットエンドがおかしいかもしれません。先に紹介したホットエンドの解説を参考にホットエンドをオーバーホールしましょう。

表面がキレイに見える範囲でオーバーハングと糸引きの具合を少し考慮してノズルの温度を決定します。

温度が決まったら追加したスクリプトを削除するか無効にするのを忘れないでください。

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