Xperia Z3Cにレンズフィルタを付けるアダプタを3Dプリンタで作ってみる
クリップ型のフィルタを買おうと思ったらタイミング悪く在庫切れ。
よし! 使わなくなったビデオカメラ用のCPLフィルタを付けよう!
海岸で写真を撮るときに偏光フィルターを使いたくなります。空の青さや透き通る水の表現がとても良いです。これはちゃんとしたカメラだけでなくスマートフォンの撮影でも効果があります。
Aukeyの偏光レンズを買おうと思ってました。ところがポチろうとした日にはなぜか在庫切れ。入荷予定なしとな。
違うのを買おうかなぁ、と思ってましたがせっかく3Dプリンタがあるのだから実用品を作ってみようということでレンズフィルタをスマホに取り付けるアダプタを設計してみる事にしました。
古いDVカメラ用のCPLフィルタが家に転がっています。もう使い道が無いと思ってましたが復活させましょう。
ビデオのフィルタ径は37mmなのですが店頭でそのサイズのCPLが無かったため49mmのCPLフィルタと37→49の変換アダプタを使っていました。今回は49mmで作っても良いのですがプラスチックがもったいないので小さくてすむ37mmで作ります。
レンズフィルタアダプタを作る
レンズフィルタのネジを作る
さて37mmのレンズフィルタのネジの規格ってどうなってるのでしょうか?ほとんどのフィルタは0.75mmで良いようです。直径40mmの円柱と直径37mmの円柱の引き算をして輪っかを作ります。そしてネジを切るための螺旋を作ります。螺旋のピッチは0.75mmです。
次にネジ山を作ります。
ネジを切る谷の形状を上の図のようにしました。レンズフィルタのネジ山は深いようです。あまり深いと山の部分が造形できなくなります。
この三角形を螺旋に沿ってスイープしてネジ山を作り輪っかを切り取ると
レンズフィルタを取り付けるネジ部分ができます。
スマートフォンのレンズ径に合わせる
スマートフォンのレンズ径に合わせて蓋を作ります。今回はXperia Z3 Compactに取り付けます。12mmほどの窓を空けておけば良さそうです。
次はスマホに固定する部分を作ります。
スマホ用クリップを作る
どうやってスマホに固定するか悩みました。洗濯バサミみたいな構造を作ろうかとも思いましたがモデルを作るのが面倒です。今回はZ3 Compact専用で固定できればいいやと思いスマホの幅に合わせたU字状のクリップを作ります。まずはクリップ部分だけを作ります。
いきなり結果です。カバーを付けた状態でスマホをはさめるように寸法を決めます。3回くらいプリントして現物合わせをしました。
この形を作るのにSheet Metal Workbenchを使いました。便利です。
スマホにしっかり固定できる感じになったら先ほどのレンズフィルタのネジと合体です。
レンズフィルタアダプタ
レンズフィルタの中心とスマホのカメラの中心を合わせてクリップを配置し合体します。
それっぽくなったでしょう。
モデルの配向
さて、モデルが完成したのは良いのですがこんな形をどうやってプリントすれば?一番の心配はネジがちゃんとできるかどうかです。
普通はフィルタが付く面を下に向けますかね。あるいはフィルタの付く面を綺麗にするため上向きですか。
1か月前の私ならそう置いたでしょう。
しかし今の私は違います。すぐにMeshmixerのOrientationです。プリントの強度、サポートの量などの優先順位を決めて配向してくれます。
MeshmixerのOrientation(向き)を使うと綺麗にプリントできるモデルの向きがすぐにわかって便利です
ですが意外と良い配向なのです。サポートを取るのも簡単でプリントの乱れる面積は最小になります。後処理が楽なんです。しかもクリップ部分の曲げる力が働く場所の強度も高くなります。積層方向と曲げる向きが異なるため折れる事はほぼなくなります。
1か月前の私とは違う!
プリントしてみる
とはいえ、プリントは大変です。造形ベッドへの定着なんて初歩的なところでつまづくわけにはいきません。ベッドと接触しているのは1点だけです。brimよりベッドの凹凸の影響を受けないraftを付けて確実にモデルとサポートを成長させます。raftとモデルの距離を小さくして確実にraftと接着させます。鋭角な断面が生じる場所にはサポートを置いて反りを未然に防ぎましょう。ネジピッチが0.75mmなので層厚は0.1mmが良いですかね。
なんて偉そうに書いてますが打率3割くらい・・・間違えて層厚を0.3mmで作っちゃったりしました。実は0.3mmでもちゃんとネジになってたので驚きました。それほど力が加わらないネジなので0.3mmでもいいかな。
SIMPLIFY3Dのバグっぽい動作
SIMPLIFY3Dの怪しい動作があります。最近は100mm/sのプリント速度にこだわっています。しかし、外郭はゆっくり描かないと形が崩れてしまいます。
スライスしてヘッドの移動速度を見てみると
モデルに黄色い部分があるのが判りますか?ほぼ100mm/sで動く場所です。これがモデルの外郭に現れてしまってます。ここは水色の20mm/s相当になっていないとおかしいのです。
モデルの構造を正しく認識していないのかと思いましたがちゃんとOuter Perimeterとなっているようです。
3Dモデルに欠陥があるとスライスが変になる事はあり得ます。少しモデルにエラーがあるようです。でもOuter Perimeterと認識しているのに速度が落ちないのはどうしてなんでしょう。
これに気づかずプリントしたら黄色い外郭部分で失敗しました。たぶんフィラメントがちゃんと乗らず反り返ったところにヘッドがぶつかってしまったのでしょう。ラフトからモデルをもぎ取り堅焼きそばができていました。
仕方ないのでプリント速度を70mm/sに落とします。せっかちの私はもう0.1mmのプリントを待ちきれません。0.2mmにしちゃおっと。
最近SIMPLIFY3Dのプリント速度の不具合で造形に失敗する事が多いです。$150-のソフトとしてちょっと納得できない点が多々あります。
マニュアルサポートは便利なんですけどねぇ。お値段を考えるとあまり人に薦める気にならないです。
Slic3rに戻ろうかな・・・サポート取るの面倒なんだよなぁ・・・モデルを直せばいいのかなぁ・・・面倒なんだよなぁ・・・プリント速度を落とすしかないか・・・
プリント結果
という事でなんとかSIMPLIFY3Dでプリントが完了しました。プリント時間は50分くらいです。サポートを取ってみます。
手でサポートを取っただけの状態です。一瞬でサポートは取れました。これだけはSIMPLIFY3Dを買ってよかった。
この配向はモデル全体できれいに面をプリントできます。オーバーハング部分のエッジで乱れが残っちゃいますけど防ぐのは難しすぎです。
Blobや糸引きが多めでした。Retractionをいじってもなかなか減りません。
レンズフィルタのネジが生きていないと意味がありませんのでフィルタを付けてみます。
ちゃんとネジこめました!
スマホに付けてみます。
クリップの具合もいいです。ちょっと振ったくらいではびくともしません。私はソフトクリアケースを使っているため引っかかりが良いのです。
フィルタの位置はどうでしょうか。
中心はちょうど良い感じです。
少し加工する
後はヤスリをかけて体裁を整えれば完成です。模型用ヤスリでblobを落とします。#150の耐水サンドペーパーでざっと表面を整えます。鑑賞するものじゃないのでいい加減にやりました。
レンズ関係の部品なので内側になる部分を艶消し黒で塗りましょう。白い所で反射した光がフィルタのガラスで反射してカメラに入ってしまいます。迷光というやつを防ぎます。
黒いABSで作ればいいんですよね。黒買おうかなぁ。
フィルタ内部のは粗いヤスリがけの方が艶が出なくてよいです。
昔はプラスチックの加工小道具や塗料はプラモデル屋で買ってました。最近はプラモデル屋とか壊滅していますね。
模型のブログなどで塗料はアクリルガッシュも使えるというので試してみます。入手しやすいですからね。100円ショップのを買ってみました。
最近はプラスチック加工の小道具はネイルケアの用品が多いでしょうか。スマホケースのデコレーションとか女性向け商品から探す方が入手しやすくなりました。100円ショップで使えそうなのをいろいろ買って試してます。
ちなみにアクリルガッシュとアクリルカラーの違いは重ね塗りで下の色が透けるかどうか、不透明か透明かの違いだそうです。不透明がいいですね。ガッシュは艶がなくて今回の例にはいいかも。
乾燥途中ですがこんな感じで完成です。
もちろんフィルタ径が合えば他のレンズも付けられます。
スマホの色の緑色がレンズからのぞいているので、レンズ窓の円はもう少し小さくしないといけないかな。
Xperia Z3 Compactは元から広角なため、0.5倍レンズを付けると周辺が欠けまくりです。
なんか変な欲が出てきた・・・望遠付けてみたい・・
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